1 不同意わいせつ罪の具体例
- 唇にキスをした場合は不同意わいせつになります。頬や腕にごく短時間キスしたような場合は迷惑防止条例違反(痴漢)や暴行として扱われることが多いです。
- 抱きしめることは不同意わいせつになります。
- 胸をわしづかみにしたり、執拗にもんだり、下着の中に手を入れて直接触った場合は不同意わいせつになります。すれ違いざまに一瞬触れたり、電車内で着衣の上から触った場合は、迷惑防止条例違反(痴漢)にとどまることが多いです。
- 下着の中に手を入れて陰部を触った場合は不同意わいせつになります。電車内で着衣の上から触った場合は迷惑防止条例違反(痴漢)になります。
- 平成29年6月23日に刑法改正があり、口淫は強制性交等罪(旧強姦罪)に該当することになりました。改正刑法が施行されたのは平成29年7月13日です。施行日より前に口淫させた場合は不同意わいせつ罪(懲役6月~10年)、施行日以後に口淫させた場合は強制性交等罪(懲役5年~20年)が成立します。
2 自白・刑事事件の場合の弁護方針
1 示談をする
平成29年6月の刑法改正により、不同意わいせつ罪は告訴がなくても起訴できるようになりました。そのため、示談をして告訴が取り下げられれば確実に不起訴になるというわけではありません。
もっとも、不同意わいせつ罪が保護している対象は被害者個人の性的自由です。そのため、起訴・不起訴の判断にあたって、被害者の意思が最も重視されるということに変わりはありません。刑法改正後も、示談書中に「許す」、「処罰を望まない」といった文言があり、前科・前歴がなければ、不起訴になる可能性は高いと思われます。
一旦起訴された場合、その後に示談が成立したとしても、さかのぼって不起訴になるわけではありません。そのため、不同意わいせつ事件においては、一日も早く示談交渉をスタートさせることが大切です。
2 被害者とのコンタクトを控える
顔見知りの女性に不同意わいせつをした場合、被害者は、「また同じことをされるのではないか?」、「仕返しされるのではないか?」と強い恐怖感を抱いています。そのような被害者の心情に配慮し、加害者としては、今後、被害者との接触は控えるべきです。弁護士を通じて、被害者にその点を強調するとともに、示談書の中に「今後、加害者は被害者に近づかない」といった条項を入れ、被害者の不安をできるだけ軽くします。
3 転居費用を負担する
住居に侵入した上で不同意わいせつに及んだ場合、被害者は加害者に対して強い嫌悪感・恐怖感を持っています。事件をきっかけとして被害者が転居を希望する場合は、可能であれば転居費用を負担することも検討する必要があるでしょう。
公判請求されたら…
転居費用についての領収証を証拠として提出します。
3 否認・刑事事件の場合の方針
1 身に覚えがない場合
全く身に覚えがないにもかかわらず、不同意わいせつの容疑をかけられてしまった場合、アリバイ事実が存在することを弁護士が検察官・裁判官に主張し、不起訴処分あるいは無罪判決の獲得を目指します。捜査機関によってDNA鑑定、血液鑑定が実施されている場合は、改めて専門家に鑑定を依頼したり、裁判所に対して鑑定を実施するよう請求します。
2 相手の同意があった場合
相手の同意があったにもかかわらず、不同意わいせつの容疑をかけられてしまった場合、本人と相手の関係、交際するようになった経緯、交際の状況、性行為前後のやりとり等から、そもそも不同意わいせつには当たらないことを主張します。